検査を繰り返しありがたい事に私はお子を授かりやすいという数値が出る。
結果一発で妊娠する。


しかし、不妊治療は体の構造上やっぱり女性に負担が大きい。毎日自分の下腹に排卵誘発剤二種類を覚悟して自己注射。あれ針を刺す瞬間より液体をチューと注入するのが痛い……。そして採卵。通院、移植(受精卵をカムバックさせる)謎の膣座薬自己投入、しばらく尻を上げて待機。


女性のお役目だから仕方がない……。妊娠出産とはそういうもの。
男女平等と、女性の社会進出は大事だがやっぱりこういう時期は昔ながら女の役目男の役目を全うすれば上手く行くのではないかなんて思う。あ、なんか真面目腐った。



まあそんな時期も私は自営業をせっせとこなしていた。しばらくはきっと生活費は鬼雄(夫)が頑張ってくれると信じ、こっちの稼ぎは多少ペースダウンしていた。


しかーし!


妊娠5ヶ月を過ぎた頃、妊娠安定期ね。
家計は不安定期に突入する。

鬼雄がある晩軽く質問をしてくる


「ババ子(私)の仕事俺も手伝えばこのくらいは利益出る?」とかなんとか。
「んーやってみなきゃ分からないけど。いけるかもね」


軽かった。めっちゃ軽かった。まさかさ、このやり取りを『俺の妻は仕事辞めてもいいよ!って言った』ととられるとは誰も思わないだろう。


結果、鬼雄は家業を飛び出した。無職となる。


相変わらずぶつかる鬼一家と仕事をするのが嫌だったのだ。

妊娠5ヶ月、私はまた飛行機で実家へ戻りアパートを探し準備を整えた。
すべて揃うと鬼雄もやって来た。

またうちの両親に挨拶をする。


「あんな鬼一家縁を切りました。二度と戻りません。自分の力でババ子も産まれてくる子もみていきます」

ド迫力で言い放ったのだった。


両親としては元々里帰り出産予定であったが、まさか鬼雄までこんな状況でやってくるとは思いもしなかっただろう。鬼雄はこれまでの人生で大きな失敗をしていない。いや傍から見れば失敗だとしても本人には失敗ではない。毎度壁にぶち当たると誰かの助けがある。助ける側の人間は仕方なくかあるいは喜んでは別として、不思議なくらいに恵まれている。


妊娠中の妻をもち無職となった鬼雄に自分の力も、そんな男気も無かったのは後々明らかとなる。


無職になったのは鬼実家のせい。

再就職できないのは魅力的な会社がないのが悪い。人の下で働くなんて出来るか!!とすぐに言い訳と暴言と責任転換をするのだった。生活水準が下がったのも私の会社が思ったより伸びなかったのが悪いと……あの時このぐらいは行けるといったじゃねーかと責められるのだった。