私が脱出した冬休み中、鬼雄はまさか、とある島へ旅に出ていた。子供達にはお誘いがあったが、こんなコロナ時代に…… 。結果ひとりで悠々自適なバカンスを楽しんだ模様。
見る気がしないのでSNSに出してある旅の模様は一切目を通さないことにした。

そして、鬼雄は週末、私の実家へやって来た。
いきなり子供を奪われたから会いに来ると……。

通じないのは承知の上でファミレスに入る。
まともに目を見て話した記憶は遠い昔、よって改まって顔を向かい合って見ると、わっ!汚い……と思ってしまった……失礼。

『鬼雄の言葉』「私の言葉」でカッコをかえます。

『離婚はしたいんだな?』

「……うん」

『やっぱりな……お前はいつもいきなり全部ぶち壊す』

「何回か言ったけど、伝わらないし。そもそも自分が取ってきた行動おかしいと思わない?」

『離婚はしてやる。俺はお前の人生邪魔する気はないから。でも子供は別だから、子供は俺らの子供なんだぞ。』

「子供に会わせないとは言ってない。今は小さいからこっちでみるしか出来ないでしょ?」

『お前仕事するのか?無理だぞ子供らまで養うの』

はあ... 血の気が引きましたわ。

「自営だけじゃ不安だから小学校入ったらね……」

『あーあ、こういう事は感情で強行突破するもんじゃないぞ。』

めっちゃ他人事みたいに言い出す鬼雄。

「今までの何年も何年も積み重なった結果だから。」

『結局なにがだめなんだよ?』

「仕事も子育てもせずに、当たり前のように好きなことして、私はひとりで子育てもお金も大変だったのに。なんとも思わないの?もう許せないから」

『じゃ許してって言うしかないな。これからは楽になるはずだったのに』

隣でお一人様の食事中のおばさんはついに、フォークが止まる。

『いくら必要なんだよ。一ヶ月』

私は通帳を見せたり、毎月どのくらいいるかを知らせる。そこには、東南アジアで生活していた頃私が支払い続けた食費のカード請求額も残っていた。
実家の一軒家は築年数と劣化が激しく近々売る。
よって、親とは別で、賃貸に移らざるを得ない。

『え、家賃までいるとか無理だろ……』

鬼雄は家業で月収50万はあるはずだ。隠し財産で土地もあるけれど、鬼雄単体で貯金どころか口座もない。
給料は鬼雄の母口座にあり、キャッシュカードで引き出していると。
こんな話し合いの場ですら自分の給料額をはっきり言わなかった。

『俺的には養育費12から14万あたりかと調べたら思ったんだけどな』

ちゃっかり下調べしてきたようだ。

「お金に困ったら子供たちの生活も苦しくなるってことだからね。今までのこと蒸し返してやり取りすることも出来るけど」

私は半分脅してみた。

『裁判なんて弁護士に儲けさせるだけだぞ。意味ないし』

鬼雄は裁判は嫌らしい。

『とりあえず、毎月15、母子手当もらえたら足しになるし』

「母子手当は所得制限あるから無理だよ」

『友達はもらってる。まあ調べるから』

『お前が誰かと再婚するならその時、子供ら俺に渡すならそれはそれでいいぞ』

と、また南南西あたりに話が飛ぶ。

鬼雄は現金持って毎月来るという。
これから離婚はあっさりいきそうだけど、親権や養育費、進学ごとにかかるお金について決めなければ。
やっぱり一度弁護士相談に行こう。

私は顔面ブツブツが出現し、手にも謎の腫れが……しもやけ?とりあえず皮膚科も行こう。

毎度、なにかを期待したわけではないけれど、私自身必死で体力的にも精神的にも経済的にもやってきたこの8年以上を無かった事のようにされ、私が悪者になったようで、ただ不甲斐ない。

鬼雄から出たのはありがとう、ごめんではなく、『許してって言うしかないな』でした。ちゃんちゃん。


私の遠慮して抱え込む性格が悪いのはたしかにある。だけど、伝える前にそれ、その言動があり得ない。妻を家族を大事に思えば普通はとれないよその行動。

大事にして大事にされて生きている人達がうらやましい。